こんにちは。

今回は、バッグの印象を決める型押しの様子をお届けします。

 

型押しのレザーバッグというと、動物の模様のように革全体に刻印されていたり、

花や鳥など、大きな絵を描いたような型押しデザインのイメージがありました。

 

が、ここで製作されてる型押しのデザインは、バッグの形に合わせて

より小さなモチーフをたくさん打ち込んでいく、というものでした。

 

と言ってもちょっと分かりづらいので、さっそく製作風景を見ていきます!

 

 

 

日干しして乾いたバッグの革を、もう一度、部分的にぬらして上から鉄の打刻棒で刻印していきます。

型押し担当は2人。工房の中ではヘスースに次いでベテラン、と思われる2人が忙しく手を動かしていました。

 

そばでお父さんの仕事をじっと見ている子どもがかわいい…。

 

 

 

打刻棒は思っていたより、小さい!これをずっと打ち込むとしたら手がつりそうです。

色んなデザインがありますが、どれもモチーフは小さめ。

そのデザインも全て、ベテラン職人のヘスースが考えているそうで、

打刻棒じたいもヘスースが鉄を彫って作っているのだとか。

 

打刻棒は鉄なので、のこぎりやナイフで削って作るそうです。

すごい…

この大きさだと、のこぎりの方が大きそうな気がします。

 

 

 

また、蝶々や花など、複雑だったり細かいデザインは工場に発注することもあるそうです。

打刻棒を作るのは大変ですが、一度つくれば10年以上は使えるのだとか。

 

定期的に打刻棒も新しいデザインのものを作り、新たなバッグのデザインや形のことを考えているそうです。

 

 

 

その打刻棒で、型押しデザインを打っていきます。

こちらはバッグの真ん中にモチーフで丸いデザインを打ち込んでいるところ。

とても早い!のに等間隔。

 

バッグのデザインによって、革全体に打ち込んだり、バッグの真ん中にモチーフとして打ち込んだりと様々。

このデザインも全てヘスース職人によるものです。

 

 

こちらが完成した別デザインのもの。

モチーフの組み合わせを一つ一つ変えていたり、全て職人の手しごとなのでどれも自ずと一点ものです。

 

打刻棒が小さいとはいえ、打ちこむ時に革にあてる圧力を均等にしながら

モチーフそれぞれの間隔も均等に打っていくのは、経験を積んでいないとかなり難しそうです。

丸い線を中心に、まん丸のデザインが打刻棒で描かれています。

(関係ないですが、昔から、えんぴつ一本できれいなまん丸を書ける人に憧れます。)

 

 

 

さて、こちらはバッグの革全体にモチーフを打ち込んで総柄を作っているところ。

トントントントンッっと、とても早くななめに直線を作っています。

こちらは線の下書きなしです。

 

 

 

すでに出来上がったものがこんな感じ。

これは直線をいくつも重ねて打ち込まれたものだったんですね。

こうした総柄は、特に長く集中しながら打ち込みますが、テクニックがあればより早く

あまり手に負担をかけずにできるそうです。

 

また、毎日工房で訓練すれば、1年でこうした型押しができるようになるそうですが、

バッグ作りに必要なのは型押しの工程だけではありません。

プロのバッグ職人になるには、さらなる根気が必要そうです。

 

 

そして工房では、この次世代の職人を育てることにも向き合っています。

次回は、若手が担当する、革バッグを編み上げる工程を見ながら

工房と若手の様子もちょこっとお伝えしたいと思います。

 

 

つづく