メキシコ、サンクリストバル・デ・ラスカサスで出会った革バッグ。
ユニークな型押しのデザインと、両サイドを革ひもで編んで仕上げているのが特徴です。
このバッグの製作風景をみに、サンクリストバル・デ・ラスカサスの町から1時間ほど離れたテオピスカという村を訪ねました。
バッグ店を率いるエリアスとバン(マイクロバス)に乗り込み、途中からさらにトゥクトゥクというバイクタクシーに乗り換えました。
工房に到着すると、広い敷地の一部がバッグを製作する作業場でした。
街から離れた静かな環境の中で、ここの工房だけトントントンッ!とかジージージーとか
元気な音がしているのが印象的です。
ここではバッグの製作工程が中心で、1時間ほど離れた村には革の裁断やなめしを行う工房もあるんだそう。
はじめに紹介されたのはヘスースというベテランの職人。
バッグ製作をはじめ、工房のことはヘスース職人が担っています。
言われてみれば、なんとなく親分のような貫禄があります。
ヘスース職人がエリアスと働きはじめたのは3年ですが、バッグ職人として30年以上もの経験があるのだとか。
ちなみに握手したときの手は、グローブをはめたまま握手しているんじゃないかと思うほど皮が厚くてゴツい手でした。
職人は3人と、まだ10代かと思われる見習いが2人いました。
製作工程は大きく分けて、①革をバッグの形に裁断し②革に型押しデザインを打ち込む、その後
③細い革紐でバッグの両サイドを編み込み、肩のベルト部分などを縫製して仕上げる、
といったステップだそうで、それぞれを分担して作業しています。
さっそく作業を見せてもらいました。
まずは、革の厚さを均等にする作業からはじまります。
裁断された自然な形の革は、厚い部分もあれば薄い部分もある。
革を湿らせて柔らかくし、のこぎりで手で削って均等にしていくのだそうです。
次に革の表面をなめらかに。滑らかな木を使って、力いっぱい革を滑らせていく。
と、シワやよれのあった革がとてもなめらかになりました。
今回は小さめの革で見せてもらいましたが、そのままの大きな革1枚をなめらかにするとかなりの時間と力が必要そうです。
ここで革を商品のデザインごとにカットし、そのあとは日陰で平干しします。
干している間、ヘスース職人は革ひもを作る工程に移ります。
革ひもとは、バッグ本体の両サイドを”編む”のに使う紐のことで、ミシンを使って糸で縫い合わせるのではなく、
この革ひもで編み合わせるのだそうです。
エリアスは、できる限り自然な素材と手作業にこだわっていて、バッグのジッパー部分や本体と肩のベルトをつなぐ部分以外は
この革ひもを使って仕上げています。
また、革を柔らかくする時にも、薬品ではなく水だけを使っています。
革を5mmほどの細い紐状にカットする作業。
その後、この革紐も厚さを均等に1mmくらいにするため、削っていきます。
この、革を削り手で厚さを均等にしていく作業は、シンプルなようで、けっこうなテクニックと経験が必要なのだそう。
そのため、ここはベテランのヘスース職人が担当しています。
ずっと革革といっていますが、バッグの本体部分には牛の革を、革ひもには豚の革を使っています。
牛の革は丈夫で、手入れをすれば何十年と長持ちし、また豚の革は柔らかくて伸びがいいので、
編み込むのに適しているんだとか。
それぞれの革の特性をいかしてパーツによって使い分けているんですね。
さて、次は製作工程の中の花形? 型押しの工程を見せてもらいます。
つづく
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